芝生

人工芝 vs. 天然芝: あなたの庭やスポーツフィールドに最適なのはどっち?

当記事では芝生というやや地味な物を取り上げてみたいと思います。
土のグラウンドは時間が経つと土自体にばい菌が増殖し、怪我をすると通常よりやたら治りが悪かったり、膿んだり爛れたりします。私も学生時代に何度も経験したことがありますが、それはそれは見た目も悪いですし、何よりいやーな臭いがしたものです。
折良く母校のグラウンドも最近芝生化され、そんな悩み、というかトラブルからは逃れることができるわけですが、では天然芝と人工芝ってどう違うのか?と疑問に思いました。そのまんまの意味やん!と言われればそうなのですが、結局どちらの方が好まれるのか気になって調べてみることにしました。

初期コストとランニングコスト

人工芝と天然芝のコストを比較する際には、初期設置費用、維持管理費用、そしてライフサイクルコストの三つの観点から考える必要があります。それぞれの具体的な数字を含めて比較してみましょう。

初期設置費用: 人工芝の初期設置費用は、一般的に1平方メートルあたり約4,000円から12,000円程度です。例えば、1,000平方メートルのフィールドを設置する場合、総費用は400万~1,200万円になります。これには、材料費、敷設工事費、排水システムの設置などが含まれます。

一方、天然芝の初期設置費用は比較的低く、1平方メートルあたり約500円から2,000円程度です。同じく1,000平方メートルの場合、総費用は50万~200万円程度になります。ただし、設置場所によっては排水システムや土壌改良が必要になる場合があり、その場合はコストが上昇することがあります。

維持管理費用: 天然芝の維持管理費用は、年間1平方メートルあたり約100円から300円とされています。1,000平方メートルのフィールドの場合、年間の維持管理費用は10万~30万円です。これには、定期的な芝刈り、水やり、肥料散布、雑草や害虫の防除などが含まれます。

人工芝の維持管理費用は、年間1平方メートルあたり約50円から100円程度です。同じく1,000平方メートルの場合、年間の維持管理費用は5万~10万円になります。人工芝は定期的な掃除やブラッシング、充填材の補充が必要なだけで、水やりや肥料散布は不要です。

ライフサイクルコスト: 人工芝の寿命は通常8~15年です。仮に10年を寿命とすると、その期間の総維持管理費用は50万~100万円です。10年後に交換が必要で、再設置費用がかかります。再設置費用も初期設置費用に近いため、10年毎に400万~1,200万円がかかります。

天然芝は適切な維持管理を行えば、長期間使用可能です。年間の維持管理費用が10万~30万円であることを考えると、10年間の総維持管理費用は100万~300万円です。定期的な補修や再生が必要ですが、大規模な交換費用は人工芝ほど頻繁ではありません。

比較のまとめ: 人工芝は初期設置費用が高額ですが、年間の維持管理費用は低く抑えられます。10年間の総コスト(初期設置費用+維持管理費用)は450万~1,300万円です。一方、天然芝は初期設置費用が低く、維持管理費用は年間で高めですが、10年間の総コストは150万~500万円です。

これらの数字を考慮すると、短期的な予算制約がある場合や頻繁な利用を考慮する場合は天然芝が経済的ですが、長期的なメンテナンス負担を軽減したい場合は人工芝が適していると言えます。使用目的や期間、予算に応じて、どちらの選択が最適かを判断することが重要です。

この表を参考に、人工芝と天然芝のコストを具体的に比較できます。人工芝は初期設置費用が高いですが、年間の維持管理費用は低くなります。一方、天然芝は初期設置費用が低いですが、年間の維持管理費用は高めです。10年間の総コストを考慮すると、人工芝の方が高額になる場合がありますが、メンテナンスの手間が少ないという利点もあります。



メンテナンス、補修

人工芝と天然芝のメンテナンスについての比較は、手間やコスト、必要な機材や技術など、多くの側面を含んでいます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

人工芝のメンテナンス: 人工芝のメンテナンスは、一般的に天然芝よりも手間がかかりません。しかし、完全にメンテナンスフリーではありません。以下の作業が必要です。

  1. 定期的な清掃: 落ち葉やゴミを取り除くために、定期的な掃き掃除やブロワーを使用した清掃が必要です。また、動物の排泄物や食べ物の汚れなども取り除く必要があります。
  2. ブラッシング: 人工芝の繊維が倒れたり、充填材が偏ったりするのを防ぐために、定期的なブラッシングが必要です。ブラッシングによって、芝の立ち上がりと見た目の均一性が保たれます。
  3. 充填材の補充: 人工芝には充填材(砂やゴムチップなど)が使用されており、これが時間とともに減少します。定期的に充填材を補充し、芝のクッション性と安定性を維持する必要があります。
  4. 除草と防カビ対策: 人工芝の下や周囲に雑草が生えることがあります。また、湿気が多い環境ではカビや苔が発生することもあるため、除草剤や防カビ剤を使用することがあります。

天然芝のメンテナンス: 天然芝のメンテナンスは多岐にわたり、専門知識や技術が必要な場合もあります。以下の主要な作業があります。

  1. 芝刈り: 天然芝は定期的に刈る必要があります。成長のスピードによって異なりますが、通常は週に一度程度の芝刈りが必要です。適切な高さに保つことで、健康な芝生を維持します。
  2. 水やり: 天然芝には適切な水分供給が必要です。乾燥期には特に注意が必要で、自動散水システムを導入することも一般的です。過度な水やりは根腐れを引き起こすため、適量を守ることが重要です。
  3. 施肥: 定期的に肥料を施すことで、芝生の栄養状態を維持します。季節ごとに適した肥料を選び、適切なタイミングで施肥することが求められます。
  4. 雑草と害虫の防除: 天然芝には雑草や害虫が発生しやすいため、除草剤や殺虫剤の使用が必要です。また、手作業での雑草取りや、害虫駆除のための専門的な対策も行います。
  5. エアレーションと土壌改良: 定期的に芝生の根の通気性を良くするためのエアレーション(穴あけ)が必要です。また、土壌の改良や補修も行い、健康な根の成長を促進します。

これらのメンテナンス作業は、天然芝の美しさと機能を保つために重要です。しかし、これらの作業は労力と時間を要し、特に広範囲な芝生では専門的な知識と機材が必要です。

安全性

これについては比較がしやすいように表をまずお見せしたいと思います。

火災や熱に対する耐性

人工芝: 人工芝は合成素材で作られているため、太陽の下で非常に熱くなることがあります。夏季には表面温度が60度を超えることもあり、裸足での歩行や転倒した場合に火傷のリスクがあります。火災リスクに関しては、一般的に難燃性の素材を使用していますが、完全に火災のリスクがないわけではありません。特に、たばこの火やバーベキューの火など、直接火が接触する場面では注意が必要です。

天然芝: 天然芝は自然の冷却効果があり、暑い日でも表面温度が高くならないため、火傷のリスクが低いです。火災リスクに関しては、天然芝は火に対して比較的安全ですが、乾燥している場合や枯れ草が多い場合は火災のリスクが増加します。

有害物質のリスク

人工芝: 人工芝には有害な化学物質が含まれている場合があります。例えば、充填材として使用されるゴムチップにはポリサイクリック芳香族炭化水素(PAH)が含まれていることがあり、これらの物質が長期的に健康に影響を与える可能性があります。また、一部の人々は人工芝に含まれる化学物質に対してアレルギー反応を示すことがあります。特に敏感肌の人々や小さな子供には注意が必要です。

天然芝: 天然芝の管理には農薬や化学肥料が使用されることがあり、これが環境や健康に影響を与える可能性があります。特に、使用過多や不適切な使用は問題を引き起こす可能性があります。また、一部の人々は芝や花粉にアレルギー反応を示すことがあり、特に春や夏の花粉シーズンには症状が悪化することがあります。

ケガのリスク

人工芝: 人工芝の表面は摩擦が大きいため、転倒した際に擦り傷を負いやすいです。特にサッカーやラグビーなどの接触スポーツでは、このリスクが高まります。また、人工芝は時間とともに硬くなることがあります。特に、充填材が圧縮されると、衝撃吸収性が低下し、関節や筋肉への負担が増える可能性があります。

天然芝: 天然芝は自然のクッション性があり、転倒時の衝撃を吸収しやすいです。これにより、関節や筋肉への負担が軽減され、ケガのリスクが低減します。しかし、天然芝は地面の硬さや芝の密度が不均一になることがあり、これが原因で捻挫や他のケガが発生することがあります。

衛生管理

人工芝: 人工芝は有機物が分解されないため、動物の排泄物や食べ物のゴミが残ると衛生問題を引き起こすことがあります。そのため、定期的な清掃と消毒が必要です。

天然芝: 天然芝は有機物を自然に分解する能力があるため、動物の排泄物や食べ物のゴミが残っても比較的衛生的です。ただし、雑草や害虫の管理が必要です。

使用感と性能

人工芝と天然芝の使用感と性能についての比較は、プレイヤーの満足度、ケガのリスク、ボールの動き、プレイ条件など、様々な要素を考慮する必要があります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

人工芝の使用感と性能:

  1. プレイヤーの満足度:
    • 感触と見た目: 最新の人工芝は、見た目や感触が天然芝に近づいていますが、やはり完全には再現できません。触った時の柔らかさや自然な弾力感は天然芝に劣ることが多いです。
    • 温度: 人工芝は太陽の下で非常に熱くなることがあります。夏の高温時には、表面温度が非常に高くなり、プレイが不快になることがあります。
  2. ケガのリスク:
    • 擦り傷: 人工芝は摩擦が大きいため、転倒した際に擦り傷を負うリスクが高いです。また、繊維や充填材による摩擦もケガの原因となります。
    • 硬さ: 長時間の使用で充填材が圧縮されると、表面が硬くなり、衝撃吸収性が低下します。これにより、関節や筋肉への負担が増える可能性があります。
  3. ボールの動きとプレイ条件:
    • 均一性: 人工芝は均一な表面を提供するため、ボールの動きが一貫しています。これにより、プレイが予測しやすく、競技の公平性が保たれます。
    • 全天候型: 人工芝は排水性が良く、雨天時でも水たまりができにくいため、ほぼ全ての気候条件で使用可能です。

天然芝の使用感と性能:

  1. プレイヤーの満足度:
    • 感触と見た目: 天然芝は自然な柔らかさと弾力があり、プレイヤーにとって最も快適なプレイ表面です。また、季節ごとに変化する自然な美しさも魅力の一つです。
    • 温度: 天然芝は自然の冷却効果があり、暑い日でも表面温度が人工芝ほど高くならないため、快適なプレイ環境を提供します。
  2. ケガのリスク:
    • 自然のクッション性: 天然芝は自然のクッション性があり、転倒時の衝撃を吸収しやすいです。これにより、関節や筋肉への負担が軽減され、ケガのリスクが低減します。
    • 地面の変化: ただし、芝の状態や地面の硬さが不均一になることがあり、これが原因で捻挫や他のケガが発生することがあります。
  3. ボールの動きとプレイ条件:
    • 変動する条件: 天然芝は季節や天候によってコンディションが変わるため、ボールの動きが予測しにくくなります。これがゲームのダイナミズムを増す一方で、予測不可能な要素も増えます。
    • 排水性: 天然芝は雨天時にはぬかるみやすく、排水性が人工芝ほど良くないため、プレイ条件が悪化することがあります。

 

まとめ

人工芝と天然芝の比較をコスト、メンテナンス、使用感と性能の観点からまとめると、それぞれに固有の利点と欠点があることが分かります。これらを総合的に評価することで、用途や環境に最適な選択をすることが可能です。

コスト: 人工芝の初期設置費用は高く、1平方メートルあたり約4,000円から12,000円となります。1,000平方メートルのフィールドでは400万~1,200万円が必要です。しかし、年間の維持管理費用は1平方メートルあたり約50円から100円で、10年間の維持管理費用は5万~10万円程度と比較的低コストです。10年ごとに交換が必要なため、再設置費用が発生し、総コストは450万~1,300万円になります。

一方、天然芝の初期設置費用は低く、1平方メートルあたり約500円から2,000円で、1,000平方メートルのフィールドでは50万~200万円です。年間の維持管理費用は1平方メートルあたり約100円から300円で、10年間の維持管理費用は100万~300万円です。大規模な交換は不要で、総コストは150万~500万円です。

メンテナンス: 人工芝はメンテナンスが簡便で、定期的な清掃やブラッシング、充填材の補充が必要です。これにより、労力や時間を節約できます。人工芝のメンテナンス費用は低いものの、10年程度で交換が必要です。

天然芝は多くの手入れが必要で、定期的な芝刈り、水やり、施肥、雑草防除、エアレーションが必要です。これには専用の機材や技術が必要で、労力と時間がかかりますが、適切な管理を行えば長期間使用できます。

使用感と性能: 人工芝は均一な表面を提供し、天候に左右されずに使用できるため、全天候型の利便性があります。しかし、摩擦が大きいため、擦り傷を負いやすく、夏季には非常に高温になることがあります。最新の人工芝は見た目や感触が改善されているものの、自然の柔らかさには及びません。

天然芝は自然な柔らかさと弾力があり、プレイヤーにとって最も快適なプレイ表面です。自然の冷却効果があるため、暑い日でも快適な環境を提供しますが、天候や季節によってコンディションが変動し、管理が必要です。自然のクッション性があるため、ケガのリスクが低く、プレイヤーに優しい環境です。

人工芝は初期費用が高いがメンテナンスが容易で、全天候型の利便性を持ちます。長期的には交換費用が発生するが、総コストは抑えられます。天然芝は初期費用が低く、自然な使用感と快適さを提供する一方で、メンテナンスが複雑で労力を要しますが、長期的な使用が可能です。どちらを選ぶかは、予算、用途、プレイ環境、メンテナンス能力などを考慮して判断することが重要です。



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